コロナが生んだ7つの変化に対応 2021年を生き残るための賃貸経営戦略

いよいよ迎えた2021年、新しい年の幕開けです!昨年は新型コロナウイルスによって賃貸業界もさまざまな影響を受けましたが、今年はその「変化」をしっかり受け止め、先手先手で立ち回る一年としたいものです。

まもなく本格化する春の引っ越しシーズンも、おそらく例年とは異なるものとなるでしょう。文科省の発表によれば、未だ全体の約8割の大学が登校不要の「オンライン講義」を併用しているとのこと(※1)。今春卒の大学生の就職内定率も5年ぶりの低水準と報道されています。また、法務省は在留外国人について、昨年6月末時点で約4.7万人が減少したと発表(※2)。オンシーズンといえど、賃貸需要減の不安は拭えません。

厳しい戦いが予想されますが、しかし「変化」に応じて適切な対策を打てればまだ勝機はあります。今年の「丑年」は、前年に撒いた種が芽を出し成長する年、今を耐え忍べば発展が待つ辛抱の年とも言われます。コロナ禍を切り抜けるヒントとして、7つの戦略をご紹介しましょう。

 ※1 文部科学省:「大学等における後期等の授業の実施方針等に関する調査結果           (地域別)」

 ※2 法務省:「令和2年6月末現在における在留外国人数について」

戦略その1:入居者ターゲットを確認し再設定

コロナによって従来の入居者層のニーズが見込めそうもない場合には、早急にターゲットの拡大・再設定が必要でしょう。空室損が膨らむ前に、管理会社と相談したうえで新しいターゲット候補を探すべきです。学生需要がメインだった1K・1Rの場合、増加を続ける単身シニアや、元々のターゲットに近い若手社会人・フリーター等の需要の検討、思い切って「ペット可」の需要に応えるなどの戦略も考えられます。

大事なのは、手当たり次第ではなく、周辺地域のニーズを調査したうえでターゲットを広げること。資金に余裕があるなら、宅配ボックスやネット無料等の人気設備を導入し、選ばれる可能性を高めましょう。

戦略その2:非対面で現地に行かずに内覧できる取り組みを

全国的に「非対面営業」が広がりを見せる今、ITを活用した「リモート内覧」「バーチャル内覧」等に対応させる手は有効でしょう。管理会社等から提案があった際は、前向きに導入を検討してみましょう。

現地に行かずに内覧(または疑似的な内覧)ができる状態は、コロナ対応だけでなく、遠隔地の方や、多忙で内覧できない方を捕まえるチャンスも生み出します。最近では疑似内覧でも室内採寸ができるサービスが登場するなど、今後の技術発展にも期待できます。

戦略その3:貴重な現地内覧者に直接アピールで好印象に

リモート内覧が台頭するこのご時世、現地への内覧希望者は貴重、かつ確度も高めといえます。是非とも、現地で良好な第一印象を抱いてもらいたいものです。

まず気遣うべきは清潔感。室内の見た目もちろん、第一印象を左右する外壁、廊下、植栽、エントランス等にも気を配りましょう。また、「におい」にも要注意。かび臭さやタバコ・下水のにおいはNG。定期的な換気、消臭剤、アロマなどで対策しましょう。

一手間かかるものの、内覧者のために寸法の分かる間取り図や周辺のエリアマップ、簡単なプレゼントを用意するのも手です。インパクト重視なら、「大家さんからの内覧のお礼の手紙」という戦略も!

戦略その4:契約電子化は賃貸経営者入居者双方にメリット有り

昨年新たに「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が公布されましたが、2021年もルール面での変更がありそうです。2020年10月には、国土交通省が不動産取引における契約書面のデジタル化を進める意向を表明。IT重説に続き、契約の完全電子化に向けた法改正等が予想されます。

電子化が実現されれば賃貸経営者の手間も軽減されるほか、入居者側にも時間的拘束や手間の軽減などメリット多数。実現・導入となった際は是非前向きの対応を。

戦略その5:DIY可に条件変更して解約抑止の布石を打つ

コロナによる巣ごもり需要の高まりで、増加しているのがDIYに親しむ人たちです。入居条件に「DIY可」を加えることで魅力アップを狙えるかもしれません。

DIY可のメリットは、自主改装によって入居者が部屋に愛着を抱きやすくなり、長期入居が期待できる点。供給が少ないため差別化も期待できます。お部屋を自分好みに改装したい層にとっては、大規模な改修許可でなくとも嬉しいもの。まずは「壁一面だけ」「キッチンのみ」など限定的な許可から始めてみましょう。


戦略その6:家具家電付きで短期需要やシンプルライフ派を取り込む

需要減が予想される一方で、コロナの感染状況に振り回され、住まいの確保に困っている大学生や外国人もいるのではないでしょうか。いつ登校授業に切り替わるか分からない、いつ帰国が必要になるか分からない…、長期契約に不安を感じる層のために、家具家電付き・短期契約可の物件を用意するのも手です。

先の読めない状況だからこそ、入居者が借りやすいお部屋を提供するのも一つの空室対策。家具家電を用意する必要がないので、引っ越し費用や初期費用が気になる人、最小限の持ち物で暮らすミニマリストやシンプルライフ派の関心も集めそうです。


戦略その7:ワークスペースや会議室など仕事場として活用

住まい方と同様に、大きく変化しているのが「働き方」です。緊急事態宣言で全国的にテレワークが普及したことをきっかけに、感染状況に合わせて在宅ワークと出社を切り替える会社が増加。住まいに「仕事をする空間」が突然必要になって困っている層も多いでしょう。

さらに、「会社でも自室でもない場所」で仕事をしたいというニーズも増加しています。思い切って空室をワークスペースや会議室に改装し、時間貸しで運用するというのも手かもしれませんね。


長引くコロナ禍ですが、最近はワクチン開発等の明るいニュースも増えてきました。知恵と工夫で難局を乗り切り、2021年を明るいものにしていきましょう!

2021年01月05日