増える災害で緊急決定!「水害リスク」説明義務化
近年、集中豪雨や台風に起因する大規模な水害が頻発しています。今年も既に九州各県や西日本を襲った令和2年7月豪雨をはじめ、日本全国で被害が発生。事態を重く受け止めた政府は8月、宅地建物取引業法施行規則の改正を実施しました。不動産の賃貸・売買どちらにおいても、重要事項説明における「水害ハザードマップ」を用いた水害リスクの説明を義務化したのです。
【整備を急がせた重大災害。危険性の再認識を!】
当改正、昨年12月に答弁を開始し今年7月に成立、8月から改正法実施というスピーディーな展開でした。しかし、西日本を中心に甚大な被害をもたらした平成30年7月豪雨、そして信州~東北に記録的な被害をもたらし、台風として初めて「非常災害」に指定された昨年の台風19号(令和元年東日本台風)を鑑みれば、非常に高い緊急度で法整備が進められた背景も頷けます。
これまで不動産取引では、当該物件が「土砂災害警戒区域」「津波災害警戒区域」「造成宅地防災区域」にある場合のみ説明義務が課されましたが、今後は「水防法に基づき市町村が作成した水害ハザードマップを利用し対象物件の概ねの位置を示すこと」が義務に追加されます。義務化によって契約者に対象物件の水害リスクを認識させ、有事の際の逃げ遅れを防止することが狙いですが、物件が水害予測範囲にある場合には、成約率にも影響が表れるかもしれません。
また、これを機に確認したいのは、火災保険における「水災特約」の付加の有無です。昨今の異常な雨量、そして下水などが溢れる都市型水災の頻発を考えると、「ここは河川から遠い」「床上浸水でなければ保険がおりない」といった理由での特約未加入は不安が残ります。私達や入居者の生活に多大な影響を及ぼす水災害の増加。台風シーズン直前の今こそ、改めて被災リスクについて考え、備えが万全であるか確認しましょう。
国土交通省 ハザードマップポータルサイト https://disaportal.gsi.go.jp/