長期安定経営の基本・修繕積立を始めよう

人間は歳を重ねるごとに身体にガタが出てくるものですが、実は建物も同様です。ただし、建物の場合は傷むサイクルが概ね決まっているため、前もって修繕計画を立てておくことが長期安定経営の基本です。


しかし、問題は多額の修繕費用です。あくまで概算ですが、シングルタイプ10戸・木造2階建のアパートでは、20年間で700万円程度の費用が必要とも言われます。

・5~10年目:約70万円(ベランダ・階段・廊下の塗装、排水管の高圧洗浄など)
・11~15年目:約520万円(屋根・外壁の塗装、ベランダほか床の塗装・防水、エアコ ン、給湯器などの設備修理・交換など)
・16~20年目:約180万円(ベランダほか塗装・防水、外構等の修繕、室内設備の修繕 ・交換など)

特に重いのが外壁・屋根の塗装です。また、15年を超えてくると設備も頻繁に故障するようになり、どうしても維持費が増大します。

将来に備えるには、やはり毎月コツコツ積み立てるのが一番でしょう。積み立ての目安は賃料の5%程度。1部屋5万円としたら、先ほどの10戸のアパートでは毎月2.5万円です。次のような金融・保険商品の満期を調整して積み立てると便利です。

・積立定期預金:配当は僅かですがほぼノーリスク
・満期返戻金のある火災保険:一部保険に限られますが、配当は定期預金よりは多め
・積立型金銭信託:元本割れのリスクはあるものの配当は多め

アパート経営における大規模修繕は、実施後に減価償却資産として経費化できますが、そのための積立金は分譲マンションと異なり経費にできないことから、現実には積み立てをしていない方が多いようです。緊急事態が発生して入用になる前に、少しずつでも積み立てを始めましょう。

2020年12月23日