人気設備ランキングをどう活かす?ニーズに応え「プラスα」で差をつける空室対策


毎年恒例、全国賃貸住宅新聞社による「人気設備ランキング」の2021年版が発表されました。大方の予想通り、「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まる」ランキングで独走を続けるのは、インターネット無料。宅配ボックス、エントランスのオートロックがこれに追随。もはやインターネットと宅配対応は、必須設備となりました。

こうした人気設備は空室対策の強い武器。しかし、多くの競合物件が導入する設備でもあるため、「せっかく導入したのに横並び」となることも少なくありません。そこで今回はランキングの確認とともに、「人気設備プラスα(アルファ)」で、設備の組み合わせによる競合物件との差別化を考えてみましょう。

■コロナ禍ニーズを捉えた設備の追加

まず注目したいのは、人々の生活スタイルを大きく変えたコロナ禍。自粛生活の中で変化したニーズに応える設備を、ランキング内の人気設備に「プラス」してみてはいかがでしょうか。例えば、非接触でのやりとりを叶える「宅配ボックス❷❸❼」「テレビモニター付きインターホン❷❶」に加えて、空気清浄機能つきエアコンや空気清浄機を設置できれば、安心感から入居者の心を掴めるかもしれません。

また、巣ごもりで高まったDIYブームに応え、入居者が手を加えてもいいDIY可能な壁を設けたり、そこまで本格的でない入居者向けにピクチャーレール、有孔ボード、マグネット対応の壁シートなどを施工して、壁に自分好みのアイテムを取り付けられるようにするのも手。それほどコストも掛からないので手軽に導入できる設備です。

■家事負担を減らす「家事ラク設備」

夫婦共働きも多数派となった現代。ランキング常連「システムキッチン❼❹❼」などの生活設備に、「入居者の家事負担を減らせるひと工夫」を加えるのも面白そうです。

例えば、キッチン周りなら食器洗い乾燥機。最近は後付けの卓上設置型もスリムタイプが多く登場しており、ファミリー・単身ともに十分訴求できそうです。また、「浴室換気乾燥機❺❻❿」が人気である一方、ファミリーでは浴室だけだと洗濯物を干し切れない、という悩みも。室内物干しをプラスして、増加している部屋干しニーズに応えるお部屋にするのも一案です。

そのほか、流行りの家事ラクアイテムといえば、ロボット掃除機やコードレス掃除機。これらを部屋の設備として用意するかは別にしても、「掃除機の充電スペース」を求める入居者は増えています。コンセントの増設や設置位置再考も、家事ラクのアピールになるかもしれません。

■プラスα! 次世代の暮らし「スマートホーム」

今年は初集計「高速インターネット❹❽❾」の存在感も衝撃でした。「インターネット無料❶❶❸❻」を一歩進め、スマートホーム化で差別化を図るのも手かもしれません。

スマートホームとは、インターネット回線に接続されたさまざまな機器やセンサーによって、近未来的かつ快適な生活を送れるお部屋のこと。スマートフォンやスマートスピーカーからあらゆる機器を操作できるため、例えば「帰宅前にスマホからエアコンをつけて適温にしておく」「玄関でただいま、と言うだけで必要な家電がすべて起動する」といった、多くの人が憧れるハイテク生活を叶えることができます。

インターネット無料をWi-Fiで提供していれば、以下のように目的に合う専用機器を用意するだけなので、比較的導入もしやすいでしょう。


「周辺相場より家賃が高くても決まる」ランキング… 単身❶~❿ファミリー❶~❿
「この設備がなければ決まらない」ランキング… 単身❶~❿ファミリー❶~❿

【スマートリモコン】…スマートホーム化を手軽に叶えられる、言うなれば、「赤外線リモコンで操作する家電ならなんでも動かせる総合リモコン」です。これ1台をインターネットに接続すれば、一般的なテレビやエアコンも室内外を問わずどこからでもスマートフォン等で操作できるようになります。

【スマートロック】…スマートフォンで操作できる玄関錠です。外出先からも施錠できるうえ、製品によってはオートロック機能や指紋認証・顔認証の機能もあり、防犯面でも優れもの。低コストで始めるなら鍵交換のいらない後付けタイプがいいでしょう。

【スマートドアホン】…インターネットに接続可能なテレビモニター付きインターホンです。インターホンが撮影する映像・音声をスマートフォンで確認できるので、外出先でも来客対応が可能に。モーションセンサーを搭載し、ちょっとした防犯カメラのように使えるモデルも登場しています。

空室対策のポイントは、お部屋の「総合力」を如何にして上げるか。管理会社と相談しながら、お部屋に価値をプラスするのに有効な設備の組み合わせを探してみてください。

2021年10月26日